某県立病院にて

故あって某県立病院に顔を出すことに。場所が場所だけにその道のりは少々足が重い。久しく会っていなかった叔母達としばし閑談。
状況は思わしくなく、語られる内容にも寿命であるとか本人の意志、家族の同意などの言葉が差し挟まれ、穏やかではない。それでも、淡々と語る叔母の表情は平然としたもの。
諦観というわけでもなさそうだ。長期に渡る介護生活に臨み、弱音一つを吐くでもなく、これまでの日々をそのまま受け入れてきた超然とした態度には頭が下がるばかり。昔からそうだった、この叔母には常に頭が上がらなかったのだ。
話題はやがて親族の消息に。うちの家系は、男が先に逝き、反面、女性は長生の傾向にあり、いつまでも矍鑠としているそうだ。目の前にいる叔母達を見れば、なるほど頷ける。
そんな会話にも笑顔を交え、皆さんいかにも達者なご様子。この叔母達の今の生活を余生なんて言葉で一括りにするのは失礼だ、そんなことをふと思う。自身の人生を全うした迫力というか、ある種のパワーがヒシヒシと伝わってくる。