幻にあらず

昨日、帰途の車中は読書に費やそうと、手持ちの読みかけ本とは別に多摩の書店で文庫を2冊購入。一昨日、米沢市を後にしたこともあり、鷹山を読み返そうと思い立ったのである。とくれば、当然、藤沢周平となる。
遺作となった「漆の実のみのる国」は長いので後日のこととしよう。短いのがあったはず、そう「逆軍の旗」に収録されている「幻にあらず」だ。読み返してみるとちゃんと記されてますね、置賜の地名が。すっかり失念しとったワ。
春先の訪問で、身をおく時間がわずかだったにもかかわらず、藤沢作品が描く逆境の中、懸命にいきる人間模様のありかは、雪に覆われた彼の土地の過酷さにあったかと、実感させられる次第。個人的には有意義な感慨を得ることができたよ。