酔いどれ故郷にかえる/ケン・ブルーウン

酔いどれ故郷にかえる (ハヤカワ・ミステリ文庫)
今風じゃないかも知れんけど、小説でノワールとくれば「暗黒小説」と理解してしまう。この小説は、そんなタイプに属するはず。
主人公は、ジャンキーで酒浸り、毛頭気高くはなく、とても救いようがない。元警官だから、やくざものでもなく、依頼を受けて探偵業を努めるのだけれど、連続殺人を巡る、犯人探し、動機の特定等、本来主題となるべき事柄をうっちゃり、ひたすら酒と薬と本に溺れて、回り道ばかり。卑しい街を、それも颯爽と、行かねばならぬ、ってタイプのヒーローでは到底ありません。
で、全然面白くないかというと、そんなでもなく、何やら味わいがあってヨロシ。
通低音として流れるロックやミステリーを除く書籍類については、好みの違い?よくわからず、お手上げ。けれど、ジェイムソンは個人的にも愛飲していてお気に入り。ちょっと、一杯飲みたくなった。