国際テロ/トム・クランシー

国際テロ〈上〉 (新潮文庫) 国際テロ〈下〉 (新潮文庫)
昨年訳出された若き日のジャック・ライアンが活躍する「教皇暗殺」がとても面白かったので、今回も期待してしまったのだが・・・。
ダーク・ピットの新作でもそうだったけど、なんで2世ばかりが登場するかなあ。2世ってねえ、世の中見回しても、政界(特に)、財界等、どうしてもマイナス・イメージがつきまとう。万世一系といっては大袈裟ですが、世襲のスタイルに習おうとするのは、なにも我が国だけのことではなかったのか、悲し。
ヒーローものもなあ、直系の親族にのみ活躍を託すなんて展開になってはねえ、なんだかなあ、新しい血入れんかいって。
ライアン2世や甥っ子達が属する秘密機関が、昨今はCIAでも躊躇するような暗殺行為を、やたら屁理屈つけて行ってしまおうっていう独善的な視点は、到底肯けぬところ。そんな違和感は最後まで拭えず仕舞い。
国がやらぬから私機関が、それも非合法でやる、となっては単なるリンチ集団ではありませぬか。
とはいえ、話が面白ければ、それなりにのめり込むこともできたはず、上下巻、ほとんど盛り上がることなく、読了。うーん。
最新軍事テクノロジー注入方フィクションでは、更に混迷を極める過酷な現実世界に対応出来なくなったってこと?
ジャック・ライアンものはもう終わってしまったのだろう。
それにしても、下巻の帯の文言、実にタイムリーですなあ。