産霊産秘録/半村良

産霊山秘録 (集英社文庫)
ここんとこ多忙で、十分な睡眠もままならぬ。書籍の活字に向き合うことが難しく、出張時の車内では目をしょぼつかせ、新聞や週刊誌の字面を追うことが多かった。先年、集英社より再刊されているのは、気づいていた。出張先の横浜は日吉駅の書店で積み上げられているのが目に留まる。おお、これならば読み返せそう。
頻度は多くなかったが、これまで復刊されるごと、幾度となく読み返してきたもの。今回、そのインターバルは長く、ストーリの詳細は頭から抜けきっていた。今の年齢で再読してみても、やなり超特の面白本との感想に変わりはなし。本能寺の変の意味付けを天皇制の擁護としたのは、本書が嚆矢ではなかったか。そういやあ、只今の大河ドラマも同じだった。
SF小説が現在よりも更にマイナーなジャンルだった頃に、SFの定番的手法を網羅して綴られた時代・伝奇小説であり、尚かつ大衆小説としても成功した希少な例でありました。