血の協会/マイケル グルーバー

血の協会〈下〉 (新潮文庫) 血の協会〈上〉 (新潮文庫)
硬質な都市型犯罪小説風装いのもと、超自然的な魔術合戦が展開される前作「夜の回帰線」にはやられてしまいました。
今回も、マイアミ警察殺人科の刑事ジミー・パスが登場しますので、読み始める前から逸る想いはいや増すわけ。でも、今回は何故かかってが違います。
前作では、アフリカの呪術に由来する事件が主題となってましたが、本作ではキリスト教がこの役割を担いますから、おどろおどろした雰囲気も半減して、どうもいけません。そのあたり、下巻の最後の方では、かなりがんばるのですが、超自然?そんなこたあないだろう、と読み進めれば、単なるサスペンス小説として読み終えることでできそうで、そこいらがまたややこしい。
かくしてこの度は、どっちつかずのストーリを構築した作家の作為にやられてしまいましたわ。少々欲求不満の気は残るけど、面白かった。次作をはよう読みたいものです。