東京奇譚集/村上春樹

東京奇譚集
今月もいろいろ買ってはいるんですが、なかなか気い入れてのめり込めるものにあたりません。
先の日曜日に購入したのがこれ。村上春樹さんの小説を、それも単行本で手に入れ、読了するなんてのは、ほとんど10年ぶりくらいになるのではと。先だって、朝日新聞夕刊に掲載されてたインタビュー記事に触発されたんだな。
通勤及び営業に向かう車上で、合間を見つけては読み継ぎ、比較的短時間で読了。まあ、短編集やしね。独特の語り口には、幾分の懐かしさを抱きつつ、結構楽しめたのでしたとさ。
風の歌を聴け」とか「羊をめぐる冒険」あたりでは、かなりリアルタイムで取り組んできたのですがね、働きだしてよりは純文学といわれる範疇のものとなれば、とかく疎遠になりがち。この人のものは、そんなジャンルの雰囲気にとらわれてもいず、そう気難しい内容でもないので、その都度押さえとけば良かったかなとも思う。村上作品が、我が思考の埒外に位置するようになったのは、初期作品群で顕著だった死者との関わりにこだわる姿勢が薄れてきたあたりからか。
初期作品でよく登場した芦屋浜のテトラポット地帯(おそらく)も、今や湾岸線に遮られ、ストレートには海に連なっておりませんからね。あ〜ヤダヤダ。
作中のところどころでジャズに関する話題が挟まれるのも相変わらず。この奇譚集で綴られる冒頭のトミー・フラナガンのエピソードなんて、実は一番の奇譚なのかも。
ということで、J.J.Johnson「DIAL J.J.5」のバルバドスを聴きながら(現在は、1,500円の廉価版があります)。

ダイアルJ.J.5

ダイアルJ.J.5