1936年の日々/テオ・アンゲロプロス監督

テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX 1から。
解説によれば、同監督のギリシャ現代史3部作の冒頭にあたり、続く彼の名編「旅芸人の記録」の前章に位置する内容だとか。同全集ボックスは、1年以上前に購入していたものの、ずっと見る機会を逃していたというか、十分な睡眠はもちろんのこと、体調やら精神状態やらが安定している今のような時期でなければ、到底受け入れられんからね。
ギリシャの歴史、特に近代史、に疎いことを自覚しながらも、この作品が制作された1972年という時期、同国は未だ軍事独裁政権下にあったことくらいは、承知している。この映画、同じギリシャ出身でフランスに亡命したコスタ・ガブラス監督の「Z」を彷彿とさせるところがある。当時、よくこんな映画が撮れたもんです。
長回しのカットが続く、厳格で硬質な映像に終始するテオ監督の手法は、この最初期の作品同様、今日も変わらず(「エレニの旅」はまだ見てませんが)。安直でスピーディーなハリウッド映画を見慣れた目で鑑賞すれば、果てしなく冗長気味な映像と写ることでしょう。必然、万人向けではありませんから、商業ベースからは外れ、ミニ・シアターにて短期上映となるよう。うーん、もったいない話だと思うぞ。まあ、後に続く作品群に比べれば、2時間内に収まっている本作なんて緩い緩い。
今日、尚、簡単ではない2時間を費やしての鑑賞後、「面白し」と洩らせる自らの感性に感謝。次は「旅芸人の記録」を見直すのだ。