日本のいちばん長い日/半藤 一利

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)
映画を見たのはかれこれ10数年前、福岡に引っ越して早々のこと。彼の地の情報誌を眺めていると、九電ホールだったか、無料の上映会が目についたので足を運ぶことに。以来、ずっとこの本を読んでみたいと思っていたのだが、おもいのほか時間を要することとなった。
あれ、大宅壮一の著作だったのでは?そのあたりの事情もあとがきに記されていまして、案の定という感じ。
タイトルは、連合軍によるノルマンディ上陸作戦を取材した「The Longest Day」に倣ったのでしょう。「The Longest Day」は、連合軍の勝利の契機となる一大作戦を描いたいちばん長い日なのだけれど、「日本のいちばん長い日」は、ポツダム宣言受諾を決した御前会議から、軍部不穏分子の熾烈な抵抗の中、翌日正午の玉音放送至る敗戦の一日を綴っている。先人には失礼なことながら、阿南陸相の行動には感動しつつも、敗戦を受け入れられず、焦燥し、なおも戦争継続を叫ぶ者たちの愚かしい姿には、辟易させられてしまう。
とはいえ、やはりというか、映画を見るより、はるかに面白いのだ。