007/カジノ・ロワイヤル

同好の士、EYさんから意外におもしろい、とのお知らせ。ええっ、そうなんすか?逸る気持ちを抑えて劇場に足を運ぶ。そういやあ、映画館なんて久しぶり。
いやあ、まいった。間違いなくシリーズ中最上の出来でありましょう。
まず、007シリーズ第一作目(小説の方)となる原作の内容を現代にうまく置き換え、結構忠実になぞっていることに驚かされる。ファンとしては、ル・シッフルやヴェスパー・リンドなんて名前が出てくるだけで、嬉しくなってしまうのだ。CIAのフィリックス・ライターもね。
いつの間にか定番となってしまったおちゃらけムードが払拭されていて、ボンド役ダニエル・クレイグの肉体同様、映像自体が引き締まった感じ。今回は小振りな秘密兵器もなし、よってQも登場しませんので、ボンドが頼りとするのは知力と体力のみ。決してスーパー・マンでなく満身創痍で敵と渡り合うこのニュー・ボンドこそ、イアン・フレミングが想像したジェームズ・ボンドそのもの。もっとも、フレミングがイメージしたケーリー・グラントのイメージは微塵もないのだけれど。
「ドクター・ノー」から「女王陛下の007」までは、「二度死ぬ」を外して、ほぼ原作に忠実だったが、以降は無茶苦茶。リメイクではなく、本作の調子で原作の順番通り撮り直せば、更に面白くなるのではなかろうか。もう断然次回作への期待は大。