陸奥爆沈/吉村昭

陸奥爆沈 (新潮文庫)

陸奥爆沈 (新潮文庫)

たまには異なるジャンルのものをと、久方ぶりに吉村昭さんの小説に挑んでみることに。これは先年、著者が亡くなられた時期に購入していたのだった。
著者自ら資料にあたり、生存する関係者に取材を重ね、戦時という非日常における軍艦事故の系譜とその顛末を解き明かしてゆく。面白し。
読み始めて即引き込まれ、読了する頃には認識を新たにすることが多々あり。陸奥慰霊祭の件に目を通し愕然となる。ここに描かれる陸奥の遺族の姿を通して、靖国神社の意味するところが理解できたように思う。浅簿だった我が思考を自戒してみたり。